曰く:
- 資本主義とは本質的に不安定なもの。
- 貨幣それ自体が、実は純粋な投機である。
- 人々は自由という禁断の果実の甘さを知ってしまった。その中にはもちろん原罪的な不安定さが含まれている。
実に味わい深いな。貨幣とかマネーの本質を言い表していてあまりある。みんなが値打ちがあると思っているからマネーには値打ちがあるのである。みんながこんなもんに値打ちがないと思い始めると、値打ちがなくなる。時々そういうことが起こる。資本主義の本質であり、レギュレーションも気休めにしか過ぎないのである。
理論的には全くごもっともだが、定年を間近にして、もしくは退職した直後に、老後の資金として貯めてきた虎の子の大半を失った人々は、こんな風には達観しにくいだろうと思う。具体的に言うと今まで勤労者をしていた都市部の「団塊の世代」が一番シアリアスなダメージを受けているのである(資産は農地と山林と生活収入利権を安堵する農水族による政治システムだけという日本経済に寄生してきたイナカの資産家は無傷だが、日本経済の発展のために長年働いてきた都市勤労者は軒並み悲惨な状態)。
定年退職後、平均寿命年齢まで生きるとして公的年金以外に一億円必要だと言われている。平均寿命で死ねなければもっと必要(100歳まで生きるのなら2億円必要、120歳までなら3億円)。なかなかそんなお金を持っている人は少ないのでキャッシュでなく株式投資に回し何とか増やそうと考えていた人が大部分だったはず。株価は10年20年のスパンで考えればいつかは戻すだろう。でも時間が残り少ない団塊の世代にはそんな余裕がない。スタグフレーションとなればキャッシュで持っていたものもどんどん目減りする。年齢をおして働き続けようとしても今度の不況は長引くので高齢者には働き口なぞあるわけがない。
団塊の世代はみんなから(上の世代からも下の世代からも)嫌われているので、みんなはザマミロと思う程度で、そんなに大社会問題だとは考えていない。団塊の世代はノースイ族みたいな圧力団体を持っていないので政治的にも無力だ。財布の紐を締めるしかないだろう。
これは米国においても同じ。べービーブーマー世代が一番ひどい打撃を受けている:
3 Ways the Economic Crisis Is Destroying Baby Boomer Retirement
この世代は、辛いことばかりを経験した世代だ。貧困の時代に成長し、何とかお金を貯めたが、90年代には住宅バブル崩壊の損失を受け、2000年代にはITバブル崩壊の損失を受け、いままたサブプライムショックの損失を一手に引きうけている。叩かれ強く適応性に富む。生存のためとあれば過激な節約行動に出る。今後の世界で始まるのは、好むと好まざるに拘わらず、この世代が主導する「一大ケチブーム」である。これは、今回の偶発的な株価大暴落で損失を確定してしまったニッポンの団塊世代と米国のべービーブーマー世代全員が、死に絶えるまで続く。この世代は、人数が多いゆえに、良きにつけ悪しきにつけ、これまで世界の流れを決定してきた。今度もそうだろう。
かくして世界の不況は、長期化し、どんどん深刻化すせざるを得ないのである。
団塊の世代も戦争という異常な現象から生まれた社会の「不安定要素」だった。。今後団塊の世代がもたらす世界不況も、資本主義の原罪的な部分か。何世紀の単位で見れば一時的な「不安定さ」にしか過ぎないのだけれど……。
2 件のコメント:
所詮、都市住民は、江戸のむかしから無宿者のながれものですから、長年働いてきたからといって、老後が保障されるのがおかしいではないですかね~。
都市人は、さっさと老後に金で苦しんで、孤独死すればいいんですよ。
↑ おっ、ヒャクショウどもの本音が遂に出たね。
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